その時、いのありに何が起こっていたのか(1月1日JUMPコンオーラス)

1月1日の22時15分、私は今、震える手で文字を打ち込んでいる。あらかじめ、これはコンサートレポなどではなく、主観と偏見に満ちた感想文であることを御容赦願いたい。

本日はHey!Say!JUMPの10周年を締めくくる東京ドーム公演の最終日。オーラスだ。元旦に大好きなアイドルを観に行けるという高揚感と、…いのありが果たして今日絡むのだろうかという不安感。そう、当方は何を隠そういのあり厨だ。
前日の大晦日、記念すべき初紅白。とんでもない事件があった。『いのあり高い高い事件』だ。トップバッターのカモナを終え、私達は完全に油断していた。坂本冬美さんとのコラボまではのんびりと紅白鑑賞を決め込むつもりでいた。しかし、先輩グループの関ジャニ∞さんがなぐりガキBEATを歌っている時、それは起こった。エイトの皆さんの後ろで楽しそうに盛り上がる他の出演陣に紛れて、何か伸び上がっては縮むものがあった。大ちゃんだ。大ちゃんがジャンプしている?最初はそう思ったが、違ったのだ。脇を両手で持ち、後ろからリフトしている人物があった。伊野尾さんだ。
伊野尾さんが、それはもう楽しそうに大ちゃんを高い高いしていたのだ。
……訳が分からない。国民の半分が観ると言っても過言ではないほどの紅白で、高い高い?しかも先輩グループの演奏中?さっぱりだ。普通はやろうと思わない。案の定、大ちゃんは途中からちょっと不機嫌そうだった。でも伊野尾さんは最後まで楽しそうにヘラヘラ笑っていた。さっぱりだ。お陰で坂本冬美さんとのコラボはぼーっとした頭で眺めて終わった。ファンシーなおもちゃみたいに鳴子を鳴らす大ちゃんと、大人しくうちわを両手持ちして微笑む伊野尾さんは可愛かった。

そういう訳で、とんでもねぇいのあり爆撃を落とされた厨は些かの不安を覚えていた。いのありは、安定しているようで安定していない。彼らが絡むのは伊野尾さんが構ってほしがりで、且つ大ちゃんの機嫌が良い日。すごい時はものすごい風速で直撃するのだが、ダメな時は全くダメ。意図的なのか偶然なのかは分からないが、絡む日と絡まない日は交互に訪れることが多いようにも思われた。さらに言えば、本日はDVDの収録撮影が入る日だと推測できた。撮影の時はこれまでやっていたおふざけをやめ、決まって大人しくなるJUMPちゃんだ。果たしてコンサートでもいのありはあるのだろうかと、そればかりが不安だった。
しかし、その不安は早々に良い形で裏切られた。
ビバナイでありちねに自分の手首を嗅がせた後で脇まで嗅がせようとする伊野尾さん、その後山田くんの紹介部分で情熱的なラテン系ダンスを繰り広げるいのあり。
JUMPing CARで楽しそうに横跳びをしながら大ちゃんのお尻を叩いてちょっかいを出す伊野尾さんと、お返しと言わんばかりに伊野尾さんの頭をネジ巻きするようにいじる大ちゃん。「♪いま君に」のところで肩を組んで密着し、楽しそうに笑ういのあり。真剣サンの「♪唯一無二」でも定番の肩組み密着をしてみせた。
キミアトだって、腕を上げて移動するすれ違いざまに視線を合わせながら、こっそりハイタッチをするいのありがあった。
そしてWhite Loveでは立ち位置に着く時に肘で伊野尾さんの手を押して笑う大ちゃんと、シンメダンスの後、思い切り腕で弾きあってニヤッとするいのあり。
定番の絡みが多いが、今日のいのありは安定していて豊作だ。こいつぁ新年早々縁起がいいや。にんまりとそんな風に思いながら、MCが始まり、私は天井席の椅子に腰かけた。
そう、この時、よもやあんな事態になると誰が想像しただろうか。

「大ちゃんも何か言うことあるんじゃないの?」
初めて紅白に出させてもらった、カモナの振り付けを天童よしみさんなどの大御所が楽しそうにやってくれて嬉しかった。確かそんな話をみんなでしていた時だと思う。薮くんが大ちゃんに話を振った。
「…えっあのー、関ジャニ∞さんの時に」
きた!まさかここでその話をするとは!薮様流石です、ありがとうございます!!内心ガッツポーズだった。そして大ちゃんの口から語られたことを要約するとこうだ。
『自分はカモナの出番も終わって、すっかり楽しくなってきてジャンプをしていた。すると何を思ったか、伊野尾が後ろから高い高いをしてきた』
こんな話をしていると、伊野尾さんがすぐさま口を挟んできた。以下、目まぐるしい展開に追いつかずに取ったメモのためニュアンスである上、話していたメンバーが実際とは異なることもあるかもしれないが、お許しいただきたい。
伊「何を思ったかってぇ、思ったのは一つだよね。大ちゃんちっちゃいから、映してあげなきゃって(とろとろ喋る)」
薮「けど大ちゃん、嫌な予感したんだよね」
またナイスアシストをする薮様。
有「そう、最初はたくさん映れるかな?って思ったけど、だんだん前に行ってることに気づいたんですよ。やべえよ、ぶつかっちゃう。降ろしていのちゃんって言ってたんだけど」
伊「嘘、そんなこと言ってねえだろぉ」
有「で結局、あの、すばるくんにぶつかっちゃたんですよ…もう血の気が引いて、どうすんだよ謝んなきゃって」
中「本番中ですよ!」
やんやんやするメンバー達。
有「でも謝んなきゃ謝んなきゃって思ってるうちにみんな移動して、曲が終わっちゃって…」
誰か「終わっちゃったんだ!」
有「だから坂本冬美さんの時も笑顔で鳴子振ってたけど、俺顔引きつってたかも」
伊「で俺もね、坂本冬美さんの時、こう、両手でうちわを持ってた。めっちゃお行儀のいいファンの子みたいにしてたの。楽しくなっちゃってぇ、また楽しくなりすぎたら俺、絶対なんかしちゃうと思ったから、うちわを持って」
ドッと笑いが起こる会場。これで話は終わるかと思ったのだ。ところが、だ。
有「終わった後、すぐすばるくんのところに謝りに行きましたよ」
中「俺も見てた、その時」
有「すみませんでしたって(裕翔くんに向かって頭下げる)」
中「え、俺?俺なの?」
すばるくんの役をする羽目になる裕翔くん。
有「言ったら最初はこう、ええよ(無表情)で。ほんとすみません、って言ったらええよええよ、嘘やって!って笑ってくれて」
メンバー「良かった良かった」
有「器の大きい方でしたよ。いやほんと、伊野尾許せなかった!!あの時は伊野尾を恨みましたね」
伊「…まだわだかまりあんの?」
有「……あるよ、ちょっと」
ここで会場の雰囲気が一気に変わった。メンバーもおおっ?と興味深そうに様子を見ている。伊野尾さんは小さく穏やかに話していて、いつものバラエティ用のテンションではなかった。大ちゃんもちょっとふて腐れたように答える。そして何を思ったか、伊野尾さんは大ちゃんに問いかけ始めたのだ。
伊「えでもさぁ、2017年の最後では、俺を恨んだわけじゃん。2018年はどうなの?」
有「……え?あ、恨んだ人、ですか?」
淡々と問う伊野尾さん。この時の大ちゃんは、本気で何を言ってるのか分かってなさそうで困っていた。
伊「大ちゃん違う違う、2018年の俺のことは、どう思ってるの?って」
訪れた沈黙。期待に揺れる会場。
有「……いや何とも思ってねえわ!!!」
デジャヴ。これはデジャヴだ。少クラプレミアムで、『俺のこと好きなんだと思う』と言い放った大ちゃんに対して、一瞬の沈黙の後返した伊野尾さんの言葉だ。大ちゃんが意図して同じ発言をしたのかは分からないが、こんなところまでいのありはシンメなのだと思った。
薮「いやここは『好きだよ』\キャー!!!/だろ!」
おたくの気持ちを汲んでくれる薮くん。でもここで簡単に好きだよと言えないところが、いのありのいのありたる所以なのだと遠のきかけた意識で思った。
有「だってやってらんねえよ!…まだわだかまりある。だってこいつ全然一緒に来ねえんだもん!!」
伊「おうおう何だよ、だから俺も謝りに行こうって言ったじゃん!!」
有「言ってねえし!」
伊「え、俺が悪いの?この件は五分五分でしょ?」
有「(ムッとした顔)」
そっと後ろに下がっていく他のメンバー。言い合いをしながら取り残されるいのあり。二人とも声が素だった。この辺から完全に会場の磁場がおかしくなっていた。我々は何を見せられているのか?ここは楽屋なのか?演技にしてはあまりにも、何というか。誤解を恐れずに言うならば、痴話喧嘩のように見えてならなかった。
メンバー「やめろよ二人とも」
伊「…いや、決着つけるまで終われねえよこれは」
有「謝れよ!」
伊「何だよ!」
メンバー「おお?おお〜〜〜???」
ここから、我々も流れを感じた。これはあれだ。ダチョウ倶楽部さんのキス芸の流れだ。流れを作ったのがいのあり自身なのか、メンバーなのか、我々にはもはや分からなかった。おふざけにしては、二人の声色が真面目だったが、しかしキス芸に至るのは必然の流れであったようにも思われた。
ちなみにキス芸の流れになったことを認識した私の意識は、ここからほとんど飛んでいる。双眼鏡を覗く手の震えを止めるので必死だった。

何やら謝れよ、だの何だよ、だの言い争いをしながら、じりじりと、本当にじりじりと間合いを詰めようとする二人。大ちゃんが数歩近づくと、何故か伊野尾さんは後ずさりした。顔に『どうしたらいいの?』と書いてある二人。いつものバラエティ精神旺盛な二人なら、オラオラ言わせながらあっという間に距離を近づけてしまうのではないかとも思うのに。伊野尾さんがほんの少し近づくと、今度は大ちゃんから離れる。これが2分ほど続いただろうか。阿鼻叫喚しながらも固唾を飲んで見守るおたく達と野次を入れるメンバー達。会場は混乱を極めていたが、二人が一番混乱していたのかもしれなかった。
有「俺のことどう思ってんだよ!」
伊「どう思って……え……?どう……?」
この独特の雰囲気は、レポに乗せることなど到底出来ない。困惑と緊張。5万5000人と7人と2人は、それぞれの感情を抱えながら、ただ新たな流れが生まれることを願い続けていた。
そして、とうとう近づいてくる二人。おおっ!?おお〜〜!?と野次を入れるメンバー達。睨め付けながら向かい合い、近づき…………二人はただすれ違った。
誰か「せんのかーい!!」
薮「今二人は探っております。探っております」
この時点でおたくは半分くらい心臓をやられてしんだ。ええええええ、と会場にどよめきが響く。二人はいよいよ焦りを顔に滲ませていた。この会場の期待にどう応えるか。どう着地させるか。そしてお互い、何を考えているのか。ぐるぐると回りながら相手の出方を伺う彼らは尋常ではない程の緊張に包まれており、まるで巌流島の決闘で向かい合う宮本武蔵佐々木小次郎だった。いのちゃんは(大ちゃんは)『アレ』を本当にやるつもりなのか。そこんとこどうなんだ。私には、二人の間にそんな推し量る感情があったように思えた。
そして遂に、真打が登場する。学級委員ひかにゃんだ。
光「二人とも!やめろって!」
嬉々として光くんが二人の間に立つ。
薮「光、やめろ」
余計に混乱を深めるのではないかと心配したのか、薮くんは冷静に光くんを止めた。しかし時すでに遅し。光くんを中心にして、再び少しずつ近づいてくる伊野尾さんと大ちゃん。と、画面に抜かれた大ちゃんは何故か顔を赤くして瞳を潤ませていた。
伊「え?何で大ちゃん泣きそうなの?」
有「元々こんな目だわ!うる目だわ!」
伊「え?だいちゃ、え?」
困惑する伊野尾さんの気持ちはよく分かる。確かに大ちゃんはうる目だが、こんな、今にも泣きそうな顔はしていない。しかしそんな困惑をよそに、また大ちゃんは伊野尾さんと光くんから少し離れて上手に向かい、芸は続行される。
有「いのちゃん、謝れよ!」
伊「…あやま、、うん、俺が謝ればいいんだよね。分かった」
猛烈な勢いで駆け出す伊野尾さん。そして、大ちゃんの身体を思いきり抱きしめた。
伊「…ごめん!!!」
大ちゃんは棒立ちのまま身体を預けて抱きしめられ、戸惑う表情を見せた後、黙ってぎゅっと目を閉じた。とても緊張しているように見えた。伊野尾さんの表情は、大ちゃんの顔に隠れていてよく分からなかった。
光「何でだよ!!俺出てきた意味!!」
案の定光くんは置いていかれた。
中「まあ一応キャーッてなったからいいんじゃないですか」
早口棒読みで前に出てくる裕翔くんは恐ろしいくらいに塩だった。

以上が、私の視界から見た『東京ドームいのありキス芸未遂事件』の全てである。この後、まるで全てを忘れたいかのように通常運転で楽しそうに絡むいのありがあったので、参考までにそちらも書き留めておく。脈絡のない文章で申し訳ない。

年末にJUMPで決起集会をしたという話。裕翔くん恒例、『その時の写真が、あるんですどーん!』で、めざましのいのピクでも使われた9人の写真が出てきた。
有「(肩を組むいのありを見て)この時はまだ伊野尾と仲良かった頃ですね」
ちなみにこの時、私は先のMCで見たものが信じられず、全身の血の気が引いてガタガタ震えていた。なんでもうそんな通常運転なの?アイドルってすごいと思った。
2次会では、みんなでカラオケに行ったという。キャーッと盛り上がる会場。
薮?「この時ね、コスプレもして」
山「え、…それ言っちゃいます?」
苦笑いで再び大ちゃんに注がれるメンバーの目線。
有「いや、あのね、チームに分かれようってなりまして」
そう言いながら、下手から再び上手に移動し、伊野尾さんの隣に行く大ちゃん。他のメンバーも移動した。有伊髙の順番だ。
山「ほら、カラオケ屋で、コスプレ衣装が揃ってるところってあるじゃないですか」
有「そう。で、入った瞬間に『俺これ着よー!』ってなって。……セーラー服に」
つん裂くようなおたく達の叫び声が会場に響き渡った。有岡大貴がセーラー服。何も言えない。
伊「で、俺と髙木が大ちゃんを挟んで、『パーティー!!』って」
髙「あのね、『Party』って曲をね、歌ったの」
セーラー服姿の有岡大貴を、いのたかが挟んで歌う『Party』。少しだけ意識が浮上していた私は、再びここからしばらく記憶を飛ばした。ここからずっといのありはお隣でMCをしていて、伊野尾さんがめちゃくちゃ楽しそうに話していたことだけは覚えている。

アンコールの冒険ライダーでは、メンステにたどり着いた伊野尾さんが中央まで進み、同じくメンステ下手側に立っていた大ちゃんに笑いながらジェスチャーした。両手で何かを持つ仕草をし、クイックイッと上下に動かす。まさか。
大ちゃんがトコトコ近づいてきた。一旦前に立とうとした大ちゃんに、後ろへ回るように伝える伊野尾さん。そして大ちゃんが、伊野尾さんを高い高いした!!一生懸命持ち上げているが、小さいのであまり上までいかない。それでも伊野尾さんはすごく楽しそうだ!良かったね!!(白目)
何回か持ち上げ、再び下手に去ろうとする大ちゃんを『待ってよ!』と呼び止める伊野尾さん。なんだ、まだあるのか助けて。大ちゃんの腰を引き寄せて、自分の前に持ってきた。そして伝説の高い高い!!紅白リバイバル!!!!いつもより高く持ち上げております!!!!ブーンみたいに両手を広げて、瞳をキラキラ輝かせて楽しそうに笑う大ちゃん。持ち上げる伊野尾さんもそれはそれは幸せそうで、もうよく分からなかった。脳は度重なるいのありですっかり焼き切れた。

ダブルアンコのロミジュリまでも、いのありはあった。『STOP!』で大ちゃんが伊野尾さんに魔法をかけると、伊野尾さんがカチンと固まった。…これは、2013年以前のいのありでよく見られた絡みだ。大ちゃんはそのまま歩き出そうとしたが、伊野尾さんがしばらく経っても動かなかったので、仕方ないと言わんばかりの表情で魔法を解いてあげた。わあ、というジェスチャーでまた動き出す伊野尾さんと、柔らかく笑う大ちゃん。私は崩れ落ちて泣いた。
このほか、移動の時も、二人で隣り合いながら歩くいのありの光景が随所に見られた。

 

 

以上、皆様はこの一連のいのありをどのように感じられただろうか。

書いていても頭がおかしくなりそうなパワーワードが並んでしまったが、これが全て実際にあったのだから訳が分からない。そして、これらを考察するまでの力は、まだ私にはない。有識者の力を大いに借りたいところである。
思えば、ドームツアー初日からいのありはおかしかった。真剣サンで大ちゃんを強く抱きしめた伊野尾さん。これまで大ちゃんを抱きしめるなんてこと、どんなにふざけてもしなかったのに。髙木くんや知念くんにはいくらでもするのに、だ。
2017年末から2018年にかけて、彼らに何があったのか。まだ何も分からない。分からないが、1月1日の東京ドームが、いのありを考えるにあたって決して外せない金字塔になるのは確かである。