Hey!Say!JUMPしか知らなかったおたくが突然なにわ男子を好きになった話

はじめに

元々ジャニーズに全く興味のなかった二次オタが、転がり落ちるようにHey!Say!JUMPを好きになってはや幾年。JUMP以外のグループに興味が湧かず、後にも先にも自分にはJUMPだけだろうと思っていたのに、突然関西ジャニーズJr.の「なにわ男子」を好きになった。それはもう、突然に。そこから芋づる式に色んなJr.のYouTube動画も見だしたりして、半年前まではJr.の名前と顔なんてほとんど一致しなかったのが嘘みたいだと思う。最初に興味を持ったきっかけはTwitterで流れてきた大西流星さんの女装画像(あれ?ひょっとしてこの子はあの「ちびりゅ」?という驚き)だったような気がするし、そうじゃなかったような気もする。正直よく覚えていない。でも半年くらいかけて彼らへの関心はじわじわと広がっていって、大きな一押しは友人に借りた8.8祭で観た「ダイヤモンドスマイル」、とどめの一撃はRIDE ON TIMEの関ジュ回だった。ボロボロに泣いたGWの夜。
長年JUMPのみを追いかけて、他のグループへの興味を持てなかった自分がどうしてかけ持ちを決意するまでに至ったのか、己自身でも不思議なくらいだった。タイミングと言えばそれまでだけれど、きっと両者のグループで何か共通して自分の琴線に触れたものがあるはずだ。
かつてJUMPが一気に推され始めた時期、なにかと先輩グループと比べられることがあって、その時「彼らはオンリーワンであって、どのグループとも比べようがない」と内心複雑な心境だったことを覚えている。なにわ男子を好きな方にとってもまた、JUMPと比較されるのを好まない方はいるだろうと思う。
だから今回は比較するのではなくて、あくまでも「JUMP担の自分がなにわ男子の持つ魅力のうち、どの部分に惹かれたのか」という観点で勝手に考えてみたい。……が、結局生まれも育ちもJUMP担なので、「JUMPなら◯◯っぽい」などの書き方はしてしまうことがあると思う。どうかお許しいただきたい。また、極力一般論と既出情報と自分の個人的な視点に基づいた感想、考察のみで構成するよう努めたつもりなのだけれど、「ド新規のくせに知ったかぶりするな」とお思いになる部分があったら本当に申し訳ない…。
願わくは、これを読んだ方がなにわ男子に興味を持ってくれると嬉しいのだけれど、好みは人それぞれなのでみんな楽しくいられるものがあればそれでいいと思う。でもやっぱり、少しでも気になってくれたら幸い。


なにわ男子とは

2018年10月6日に結成された関西ジャニーズJr.のグループ。…なのだが、はじめに言っておくと、このグループ、既にめちゃくちゃ売れている。関西ローカルを含むとはいえレギュラー出演番組を3本持ち、大阪エキスポシティの観覧車アンバサダーに選ばれたり、メンバーの一人が大阪万博有識者懇話会委員に選ばれてつんく♂さんと並んで会合に出席したり、各々ドラマや映画、バラエティに出演し、当然雑誌には引っ張りだこで、ツアーをやれば倍率70倍だったりして、それはもうデビュー組並に仕事に追われている。ただ、これまでは関東に住んでいるとグループとしての仕事を実感しにくいことも多かったのだけれど、ついには全国放送のめざましテレビで毎週金曜日に「なにわ男子のなんでやねん!」というグループ冠コーナーを持たせてもらえるときた。
また、10月7日からはテレビ東京系列でグループ初主演ドラマ「メンズ校」が始まる。メンバー全員が寮暮らし、孤島にある男子校へ通う高校生という設定で、文字通りの閉鎖的な学校生活を打破するべく、個性的な少年たちが力を合わせて濃厚な青春を体験するというストーリーだ。こんな、ジャニオタが歓喜する内容のドラマをデビュー前にあてがわれることは、幸運に他ならない。いや、本当のところ、デビュー前にこのドラマをやることにこそ意義があるのかもしれない。
そういう訳で、なにわ男子の人気は今もなお高まるばかりだ。端的に言えば事務所に推されているということもあるし(関西の諸先輩方による多大な応援もある)、グループの若さと勢いときらめきが相まって、ファンは恐るべき速さで増えていく。一方で、グループが結成される以前から松竹座に通い詰め、関西ジャニーズJr.を愛し支えてきた古参のファンも多い。だから、今なにわ男子を好きになっても、「自分はJr.を推している!他の人より先に彼らを好きになれた!」という感情を抱くことはあまりないかもしれない。しかし、それは逆説的に、一定の安心感とデビュー前のドキドキ・ワクワク感を同時に得られるとも言えるだろう。
この前提は、自分が彼らを好きになる上で無意識下に重要な条件だったのかもしれないと思う。ずるいだろうか。でもこれまでデビュー組しか知らなかった自分は、未知の航海に乗り出すハードルの高さをさほど感じないこのタイミングでなければ、きっとここまで彼らの魅力に気付けなかったと思うのだ。同じようにデビュー組だけを見てきた人にとっては、今が飛び込むのにちょうどいい時期なのではないかと思う。

 

ド新規から見たメンバーの印象

兎にも角にも、ひとまずメンバーの紹介をしなければ次に進めないと思うけれど、あいにくド新規なので詳しいことは全く分からない。というか、古参の方々が既に素晴らしい紹介ブログを書いていらっしゃるので、できればそちらを見てほしい。私が書けるのは本当に今の印象だけで、ただまあ、そんな紹介にならない紹介があってもいいじゃないか、という精神でふわっと記しておく。

藤原 丈一郎(24)
喋りもパフォーマンスもホームラン級、なにわのまとめ役
グループ最年長かつ入所16年目と東西Jr.の中でもかなりのベテランで、なにわ男子結成前は大橋くんと共に先輩のバックダンサーを中心に活動してきた。歌もダンスも長年の経験に裏打ちされた実力者。笑いに貪欲で日頃から研究に勤しんでおり、喋りが中堅デビュー組並みに安定している。面倒見が良く、メンバーからも信頼を集めている。人のためにきちんと叱れる人。年下組とよく買い物に行ったりじゃれあったりしている。すごくパパ。野球がめちゃくちゃ好きで、贔屓のチームであるオリックスの勝敗にテンションが左右される。あと私服が某ファストファッションブランド。

西畑大吾(23)
なにわ男子の顔その1、関西ジャニーズJr.を背負ってきた男
アイドルへの愛情と執着と責任感が服を着ているみたいな人。また、グループで唯一マント着用を許された男。色んなものを背負うほど魅力的になるけれど、同時に自由に楽しそうにアイドルしているのが魅力的。関西ジャニーズJr.となにわ男子を一番愛している人かもしれない。自身で「AB型だから」と自負している通りテンションの差が激しく、時々ぶっ壊れてメンバーが置いてけぼりにされる。また、プライベートは一番謎に包まれているように感じる。女装すれば一億万年に一人の美少女(公式キャッチフレーズ)。高い演技力を持ち、過去にはNHK連続テレビ小説の役を2回獲得した。控え目に言って、いたいけな少年を愛している。

大橋 和也(23)
朗らかな笑顔とハスキーボイスが持ち味、愛されリーダー
ノリ(立候補)と流れで決まったというなにわ男子のリーダー。でも、彼がリーダーで良かったと思うことは多いとメンバーは口々に言う。丈くんと共に長年先輩のバックについてコツコツと努力を重ねた結果、グループの中でもとりわけ高い歌唱力とダンスの技術を持つ。食べることが大好きで、ステイホーム期間中はちょっぴりぽっちゃりしたが、今はほぼ元に戻った模様。バラエティ番組や動画では先陣を切っておちゃらけるタイプだが、実は周囲をよく見ていると思う。爪痕を残すのが上手い。とっても天然だが、シンメの丈くんをお世話しなければという自負がすごい。

高橋 恭平(20)
自他共に認める正統派美形、愛すべきおとぼけ自由人
クール系の整った容姿をしている。彼自身も自分のことが大好きでしょっちゅう鏡を見ているが、それだけのことはありパフォーマンスにおけるビジュアル、仕草、視線は完璧。入所的には道枝くん・長尾くんと同期だが、年齢的には成人していることもあり、現在はグループの橋渡し役を担っていると思う。気取らない人柄とフットワークの軽さからか、メンバー全員と満遍なく付き合いがいいイメージ。自分の語彙力と滑舌にあまり自信がないようで言葉少なな印象だが、メンバーの誕生日などでは想いを込めてまっすぐメッセージを伝えてくれる。分かりにくいけれど、実は愛情深い人。

大西流星(19)
なにわのkawaiiマスコット、思慮深さも身に付けたラストティー
見ての通り、めちゃくちゃ可愛い。とにかく可愛いのに、メイクでさらに可愛さもりもり。メイク道具もいっぱい持っているらしい。10歳での入所以降、ずっと年上の子たちと第一線で仕事をし、その集団の中で「最年少」「可愛い愛されキャラ」として認知されていた。しかしなにわ男子の結成とともに年下・後輩組と同じ土俵に立つことになり、彼らのために俯瞰的な言動をする思慮深い一面が目立つようになったと思う。また今年3月に大阪万博有識者懇話会委員(長い)に選ばれたのを機に、経済新聞を毎日読むようになるなど、努力家。同3月には高校も卒業し、成人に近づく中で、アイデンティティの再構築を始めているような気がする。

道枝 駿佑(18)
なにわ男子の顔その2、美しすぎる努力のバブちゃん
JUMP担には「愛しいだよ」と山田担としてお馴染みのみっちー。とにかく美人で努力家の一言に尽きる。急に成長してしまったために自分の大きさがまだ把握しきれていないタイプで、動きがダイナミックにバブバブしている。よくお口をぽかーんと開けているので飴ちゃんをあげて保護したい。また真面目さと純真さ故にツッコミの切れ味が鋭く、最近はウケを取る快感にも目覚めており、本人は山田担だが個人的には中島裕翔さんの遺伝子を継ぐ者だと思っている。ガラケー!芸を伝授してあげて欲しい。美容へのこだわりが強く、おうち動画でアルビオンのライン使いが判明した際は一躍話題になった。

長尾 謙杜(18)
安心安全の笑顔、色香のギャップで撃ち抜くLDK
ほんわかとした笑顔に油断していると、パフォーマンス時に見せるえも言われぬ色香に撃ち抜かれる。本当に危険。イケナイ太陽。自分の魅せ方をよく分かっており、個人的にはメンバーで一番フォトジェニックだと思う。あと、繊細そうな見た目をしているがめちゃくちゃ元気。あまりにも賑やかで構って欲しがりなので、同期で同い年で高校も一緒の道枝くんがうるさいねん!的な感じになりしばしばトムとジェリー現象に発展する。つまりは仲良く喧嘩しな状態(…だったのだが、どうも最近は道枝くんがデレになってきた模様。西畑先生談)。ファッションに造詣が深く、なにわ男子の衣装のいくつかを担当している。

 

なにわ男子のどこに惹かれたのか

上記で大ざっぱながらメンバーの紹介をさせていただいたとおり、それぞれが個性的で、荒削りな宝石のような魅力を持っている。ただ、自分はどうしても「グループ」全体の魅力あってこその個人に惹かれてしまう傾向がある。なにわ男子の代表曲の一つとも言える「ダイヤモンドスマイル」では、最後に全員でブリリアントカットのダイヤモンドを象ったポーズを取る。一人一人の振付だけでは分からないのに、全員でポーズを取ると、本当に不思議なほど煌めくダイヤモンドが眼前に浮かぶのだ。ぼんやりと、きっと自分はそういうところが好きなのだなと思う。磨かれる只中にある宝石達が集った時の、まばゆいほどの輝き。
では、具体的になにわ男子の何がグループとしての輝きたるのか。彼らが複合的に産み出すどのような部分に惹かれているのか。明確な言葉にするのは難しいが、うんうん首を捻りながら考えてみた。

①年齢差と入所歴差が産み出す"幅"
なにわ男子は、上から下までの年齢差が7学年分、入所に至っては10年以上も差があるグループだ。というかもう、丈くんのベテランっぷりが圧倒的。そもそもグループの成り立ちから書くと、なにわ男子はなりゆきで徐々に出来上がっていったグループではない。ある日の夜、突然マネージャーから本人達に一斉メールで「このメンバーでグループ結成するから」と連絡が来る形でスタートしたようだ。本当に急な発表だったようで、当時のインタビュー記事などを読むと、ファンのみならず関ジュ本人達の間でも騒然としたらしいことが何となく伝わってくる。詳しいことは割愛するが、Jr.のグループではあるものの、ある意味バレーユニットに近い混乱もあったのかもしれない。
ここまで年齢・入所歴に幅があるグループはおそらくV6にジャニーズWEST、最近で言えばSnowManくらいでは?と思っているのだが(あまり詳しくないので間違っていたら大変申し訳ない)、これらのグループにも言えるとおり、"幅"はそのままグループ全体としての厚みに繋がる。弟組は兄組の背中を見ながら、破竹の勢いで成長していく。兄組は弟組を見守りながら、彼らの成長に刺激を受けさらに成長する。弟組の無邪気さ・可愛さに引きずられて兄組はさらに可愛くなるし、兄組のパフォーマンス力を尊敬して弟組は必死でダンスや歌を上達させる。弟組はグッズ開発や衣装のデザインなど、自他を含めてのプロデュース力が高いのも特徴だ。また、兄組は彼らの中でも経歴差があるが、演技やダンス、歌にバラエティなど得意とする分野が異なるのでそれぞれ上手く高め合う関係になっている。
ここまで便宜上兄組・弟組と書いたが、間に恭平くんや年上の子達と一緒に活動してきた流星さんが挟まっているため、年齢や入所歴でグループ内がはっきりと二分されている訳ではないのもポイントだと思う。
連帯を保ちつつも、年齢や入所歴差を活かして強みに変える力は、運命の悪戯がしばしば起こるジャニーズのグループでは特別珍しいものではないかもしれない。それでも、やっぱり良いものは良い。この多様性が楽しい。

②発展途上の関係性と"アオハル"
上記の経歴差にも関連するのだが、なにわ男子、なんと結成2周年にしてまだ先輩後輩の敬語が残っている。デビュー組とJr.の違いはあるかもしれないが、Hey!Say!JUMPで言うと2009年時点で7がBESTに敬語を使っている感じ。最初は不思議だな〜と思って見ていたのだが、どうも関西Jr.は東京Jr.よりも規模が小さいせいか、先輩が後輩の面倒を見る意識が一段と強いらしい。関西Jr.全体の関係として、とにかくわちゃわちゃしていて箱庭感が強い。なにわ男子はその傾向が特にあると思う。
みっちー・長尾くん辺りにとっての丈くんと大橋くんはかなりの先輩という認識のようで、結成当初は何かと気を遣っていたとのこと。しかしそんな関係もこの2年で変化し、敬語すら残っているものの、心はフルオープンで開きまくっている。長尾くんは大橋くんとキャッキャキャッキャはしゃぎ回り、丈くんに「聞いて聞いて!」と色々な出来事を報告し、みっちーは大橋くんのお膝に乗ったり(※178cmが167cmの上に乗る)、面白いことを言えたと思うと丈くんに「ねっ♡」という満面の笑顔を見せたりする。二人ともバブバブのバブである。年下組を取り巻く関係性の変化・距離の縮まり方は目まぐるしく、個人的にはこういうのにとっっても弱い。愛しいだよ…。恭平くんも入所のタイミング的には一緒のはずなのだけれど、性格のせいか年齢のせいか、今も昔もそんなに構えている印象はないように思える。でも年上にはゆるくても敬語。あと、最近は急激に西畑くんとの仲を深めているようで、普段は割とガードが固い印象の西畑くんから恭平くんにじゃれついているところも見られるようになった。そんなところも興味深い。
興味深いと言えば、流星さんのポジションもそうだ。紹介にも書いてしまったが、元々彼は入所して以来、西畑くんや現SnowManの向井くんをはじめとする年上の子たちと共に第一線で活躍してきた。過去の映像を見る限り、辛いことや悲しいことも沢山あっただろうが、少なくとも仲間内ではたっぷり愛されて育ってきた印象を受ける。それがなにわ男子の結成によって年下と年上を繋ぐ中間的な立場になり、特に最近は半歩下がって全体を見渡すような姿勢への変化を感じる。よく周囲からしっかりしていると褒められる彼だが、大人になる直前の期待と不安が入り混じる空気感には胸を突かれる。
丈くんと大橋くんに関してはかなりのベテランであるし、長年シンメ的な立ち位置にいたこともあり、結成からずっと安定してなにわ男子を支えてくれている。しかし上記の通り、これまでそこまで深く関わることのなかった年下組と家族のように接し、保護者的な温かさといい意味での幼さが同居するようになったのかな、などと思ったりする。特に二人はご存知のとおり「あすかな」で高校生のキャラクターとして活躍している訳で、なにわ男子として時を過ごすほどに役柄が馴染んでいるような気がする。
そして、7人の関係性を語る上で軸になる存在はやはり西畑くんではないかと思う。関ジュ担の方々にとってはもはや語るまでもないくらい当たり前のことだと思うが、彼はジャニーズWESTデビュー、現キンプリのしょうれん東京進出以降、関西ジャニーズJr.を背負い続けてきた。自分は本当にJUMP以外のジャニーズを学ばず生きてきたから、関ジュにどんな子がいたかも殆ど知らなかったし(なにきん、みっちーくらい)、ましてや「焼け野原」だなんて揶揄されていたことなど知る由もなかった。そこから何とか関ジュの個性を光らせようと全体をまとめ上げ、駆け抜けて、駆け抜けて、辿り着いたのがなにわ男子だった。そんなグループに西畑くんがどれだけの愛情を抱いているかはIsland TVでステイホーム期間中にアップされた「なにわ先生」の西畑くん回( https://j-island.net/movie/play/id/5727 )を観ていただければ分かっていただけると思うが、「自分にとってなにわ男子とは『青春』です。なにわ男子風に言えば『アオハル』かな」と述べている。彼にとってなにわ男子はジャニーズに捧げてきた青春をもう一度取り戻させてくれる場所で、きっとこのホームを、メンバーを守りたいのだろうな、と新規なりに思う。プロ意識の高い西畑くんが無邪気に自然体でメンバーと笑い合っているのを見るにつけて、鮮やかに揺れ動く心を見るにつけて、何か胸に込み上げるものを感じる。
なにわ男子はまだまだ発展途上で、繊細で、今この一瞬一瞬に変化し続けている。メンバー全員が関係性を深めながら、"アオハル"を謳歌している。水面のきらめきのように眩しくて、けれども目をつぶってしまうのはもったいない。これから年下組も成人していく中で、7人がどれほど素敵な関係に変わっていくのか、絆を強めていくのか。今から楽しみで仕方ない。

③笑いと王道を往く関西ジャニーズ
関西ジャニーズを好きになると、お笑いタイムが自動でついてくる。エイトさんやWESTさんのコンサートでコントの時間があるという話は聞いていたけれど、Jr.もそうなのか、というのは好きになってから初めて知った。実際譲ってもらって観た素顔4の関ジュ公演は、コントやコメディ的な演出の時間が全体の1/4程度を占めていた。関西ジャニーズにとってもファンにとってもこれが当たり前なのだろうと思う。でも、東京ジャニーズのデビュー組しか知らない人間にとっては新鮮な驚きだ。そして同時に気づいたこともあって、関西の人々…少なくとも関西ジャニーズにとっては、笑わせることも笑うことも愛情であり生きる力なのだということだ。もちろん誰しも笑うことは素敵なことだしハッピーなのだけれど、関西ジャニーズを見ているともっとソウルの部分で執着を感じる。実は今までは「関西」というステレオタイプのイメージを押し付けられている面があるのかも、なんて失礼なことを思っていたりしたが、そうではなくて、彼らはプライドを持って笑いに取り組んでいるのだと気づいた。ジャニーズという概念への解像度を上げて貰えたようで、それが自分には何とも言えず面白い。
この前提があった上で、なにわ男子は「キラキラ」を追い求めている。コンサートでは衣装、歌、演出、そしてメンバー本人達の全てが輝いていて、圧倒的な王道路線と言える。しかし、関西伝統の笑いを捨てた訳ではなくて、むしろメンバー内でボケやツッコミは絶え間なく繰り広げられているし、その手腕はバラエティでも随所に発揮されている。それに、王道という意味でしばしばキンプリなどと比較されているのを目にする気がするが、個人的にはどこか泥臭いというか、「情」を全面に出しながら成長していくところは関西のグループに共通して見られるものではないかなと思う。実際西畑くんが先に挙げた動画の中で、なにわ男子のことを「キラキラスーパーアイドル×親しみやすいスーパー関西人」と表現していて、これ以上的を射た表現はないと思う。このなにわ男子の誕生によって、関ジュに新たな像、道筋を示した意義は大きいのではないかと思う。関西ジャニーズにとってロールモデルのない、未踏破の道を歩んでいくことはある意味難しさも伴うのかもしれないが、彼らが新しい「王道」になるのかもしれないと思うとワクワクするし、辿り着く頂上の景色を一緒に見てみたいと思う。

⓪何しろ顔がいい
まあ、とにかく、こんな長々と御託を並べる必要なんてないくらいなにわ男子、顔がいい。とにかく茫然とするくらいみんな顔がいい。儚い美形、くっきりとした美形、もちもちの美形…。もう全然語彙力が伴わないが、現場で見れば誰も彼もさぞキラキラ発光していることだろうと思う。シンプルイズザベスト、顔がいいって素晴らしい。7人並べば、人生まだまだ捨てたもんじゃない、ジャニーさんありがとう…と手を合わせたくなるありがたみ。とりあえず手っ取り早く顔のよさとキラキラパフォーマンスを味わえるこちらをどうぞ( https://youtu.be/BlBKZMJxA9c )。


色々偏りがひどくて文章がまとまらないし、まだまだ書きたいこともいっぱいあるのだけれど(コンビの話とかコンビの話とか)、とりあえず今の自分が感じていることを書き留めてみた。ひょっとして半年、1年先に改めてこの文章を読んだら「好き勝手に適当なことを書くんじゃないよ」と腹が立って消してしまうかもしれないが、とにかく今の自分はこんな部分に惹かれているのだと確認できて良かったと思う。
なにわ男子、可愛いです。大好き。

そして10月6日、結成2周年おめでとうございます!これからも片隅で勝手に応援させていただきます。

『PARADE』は終わらない〜とある末端おたくによる一解釈〜

2019 年 10 月 30 日、待望の Hey!Say!JUMP 新アルバム、『PARADE』が発売された。今度こそブログを書くことはもうないだろうと思っていたけれど、その内容があまりに鮮烈で、Twitterの120字では足りそうになかった。それに何より自担から「その楽しかった気持ちを自分だけのものにしていたらもったいない」とのお言葉をいただいたため、こうして何とか文章にしたためてみた。

唐突だが、JUMP を好きになってから両の手で足りないほどの年月が過ぎた。彼らへの愛情は若い頃より格段に穏やかなものになっている。自分も年を取ってしまったな、そんな風に思う。
JUMP もまた、仲の良さを維持しつつも昔より幾分穏やかな関係性になり、技術も各々向上して成熟したコンテンツを見せてくれるようになった。一方で、とびきり可愛らしいのに荒々しくこちらを捕らえて離さない、少年特有の戦意を感じることは少なくなったような気がしていた。無邪気で可愛らしい一面ももちろん未だ持ち合わせているけれど、誰しも、誰だって、大人になるのだ。それは、不安定で未完成で、それでも制限された箱庭の中で懸命に遊ぶ彼らを愛したあの頃を過去に流し去り、気持ちの整理をつけることを意味している。
ギラギラと輝き、残酷なほど愛らしい彼らをもっと知りたい、追いかけたい、深みに嵌りたい。そんな気持ちに突き動かされることはもうないのかもしれないとすら思っていた。自分はHey!Say!JUMP という存在から自由になってしまうのか、と。


ところが、だ。
予感はしていた。これまでにないティザーサイトや Twitter の OPEN、それらの中で明確に打ち出されるコンセプト。先行公開された MV や曲から溢れ出す、ダークにもライトにも振れるファンタジー性。否応なしにワクワクする。これは、いい意味で穏やかでないアルバムになるような気がしていた。
……とんでもなかったよ!!もう、ポエミーな文体全部吹っ飛ばすくらいの威力。どの曲を取っても最高。そして、「”夢”と”妖かし”をテーマにした不思議な世界(公式サイトから引用)」の裏には、いくつかのメッセージが隠されているような気がしてならない。
もう綺麗なまとめ方が分からないので以下、ぐだぐだと曲の感想を書き連ねていく。こんなに歌詞カードとにらめっこしたJUMPのアルバムは初めてだ。例によって個人の独断と偏見に満ちたこっ恥ずかしい解釈ですが、どうかご容赦いただけるとありがたい…。

 

■アルバム曲のテーマに基づく一解釈
『ミラクルワンダーマジック』は、妖かしの世界への入り口にぴったりなおどろおどろしいイントロで始まる。不気味さに尻込みするのも束の間、続く軽快なビートで知らず知らずのうちに引き込まれてしまう。我々は「魅力的な誘惑に身を任せ」、「ほらここだよ」と呼ぶ美しい妖かし達の手を掴んで彼らの世界に誘われていく。「おもてなし後悔なし 夢中になること間違いなし」、確かにそうかもしれない。我々は夢見心地のまま、彼らの列に続くことになる。

続く『ファンファーレ!』でパレードの始まりが知らされた。木漏れ日のように煌くサウンドが、胸を高鳴らせる。彼らの大人っぽく優しい声色にうっとりと聴き入ってしまう。

そしてアルバムのリード曲である『獣と薔薇』。先ほどの穏やかな世界から一転して、異形の獣となった彼らが牙を剥く。「ギラギラ 眼つきで愛を捜して」いる彼らは、身体だけ大きくなった寂しい少年のようにも思える。一体誰の愛を捜しているのだろう?そう思う我々の前へ、彼らが壁を越え現れるのだ。「お前を奪いに行く」と。

気付けば、我々は妖かしによる祭りのただ中にいた。『はな壱もんめ』という無邪気な遊びの中で、我々はなす術もなく彼らに奪われ合う。「君が欲しくて堪らないんだ」「誰にも取られなくない」と稚拙なほど真っ直ぐな言葉で綴られた時、ハッとする。「そっちより先に こっちへおいでよ」。彼らは「そっち」がどこなのかを知っているのだろうか。妖かし達を知らなかった者は行き先を阻まれ、知っていた者は道を引き戻される。「またね」という言葉は一種の呪いだ。彼らは我々が列から離れることを何よりも恐れている。そして、ここから逃がすつもりなど毛頭ないのだ。

そのまま狂瀾は宴へと変わる。「飲めや歌え踊り明かせ」と騒がしく楽しい『UTAGE Tonight』。気づけば我々もすっかりパレードの一員となっていた。「味を占めたら二度と戻れない」そんな危うい言葉を投げかけられても、気にならないほどに。

そうは言っても、道中流れるのは妖かしの気配を感じる曲ばかりではなかった。9人体制で歌われた爽やかなメロディラインの『COSMIC☆HUMAN』、これまでにないくらい大人の魅力たっぷりで退廃的な雰囲気漂う『I』、Hey!Say!JUMPの十八番とも言えるラテン調で洒脱な『愛だけがすべて-What do you want?ー』、日々の生活に疲れた背中をそっと押してくれるような『Lucky-Unlucky』、こんな曲調がないとJUMPコンが成り立たないというくらいハイビートで楽しい『Love Equation』、愛する人との幸せについて考える『アイノユウヒ』といった面々が、色とりどりの光となって練り歩く道を照らしていく。

そして、パレードの盛り上がりは遂に最高潮に達する。「無礼講さ キミはV.I.P」とエスコートされ、「明日の予定も忘れて ハメ外しちゃえ」と妖かし達から囁かれるままに大いに騒ぐ。その踊りはさながら『Zombie Step』のよう。しかし、そんな楽しい時間もやがて過ぎ去ってしまう。地平線の向こうから、朝日が差しはじめていた。パレードは終わるのだ。子どものように遊びはしゃぐのはこれまで。「次の招待状も渡すよ すぐに会えるよ またいつかのパレード」。そんな言葉を聴きながら、我々は現実へと進んでいく。まだ帰りたくない、それでも帰らなければならない。だって終わってしまうのだから。

ふと、目が覚めた。全ては夢だったのだろうか。そう思い、また単調な日々に戻ろうとする。でもやっぱり、心のどこかで諦めきれなかった。「飾りすぎて見えなくなった 言葉の心に答えがあるから」。本当は、この現実こそがパレードなのではないだろうか。心を開いて、「大人のフリした答えを捨てよう」。楽しい明日のパレードを作るのはきっと自分自身なのだ。『CALL&PRAY』、心に住まう彼らを呼び、祈る。夢のような現実に、何度でもアンコールを。パレードのアンコールを。

「光が舞って 鳴り止まない音に身を任せて」そしてまた、『パレードが始まる』。

 

と、最後の方は多分に妄想を含むものの、一連の曲の流れにこんなメッセージがあるのではないかと勝手に考えたりした。

『”夢”と”妖かし”』というアルバムの機構装置を利用して、Hey!Say!JUMPは我々を彼らの世界へ何度でも誘い、離すことはない。その夢のような時間は虚構から現実へ、地続きに繋がっていくのだ。

 

■「可愛い」という狂瀾の最終兵器

『パレードが始まる』がこのアルバムにおける本来のクライマックスだと思うが、実はまだ続きがある。通常盤の最後に入っているボーナストラックだ。ここが個人的に最も触れたかったところ。

『ぷぅのうた』は発表時から一体どんなトンチキが待ち受けているのだろうと期待と不安が半々だったが、メンバーによる可愛らしいミニドラマから夢に溢れた歌へと繋がり、更に歌詞にさり気なく9人(匹?)のぷぅの名前が込められているのはお見事(発見した人はすごい!)。メルヘンJUMPの面目躍如といったところだ。

問題は二つ目のボーナストラックにある。『パレードは終わらない -Life is an Adventure-』は、『パレードが始まる』と対になっている楽曲。パレードとは彼らと歩む旅路。JUMPが一人一人語りかける台詞、そして「誰かが終わりって言っても無視すればいいさ だって僕らの旅は終わってないだろう? キミが一番分かってるはずさ」…薮くんが歌うこの歌詞に、心を揺さぶられた人がどれほど多くいることだろう。色々な理由をつけて、知らない人の言葉を飲み込んで傷付いて、そうして諦めようとしていたのは果たして誰だったのか。「悪い時こそチャンスに変えて その度に強くなっていくんだ」「絆ってそういうもので だからずっと離れられないんだ」。大丈夫、JUMPがJUMPとしてそこに在る限り、パレードは終わらないのだ。

……と、綺麗な形で締め括られるはずだった。5分40秒までは。ジョン・ケージか。しんみりしていたところに突然流れる怪しげな音楽と「ん〜めでたいっ」からの「めっめめめめっめっめっめっめっめっめっめっ」。こう表記するしかないから困る。その後の歌詞も訳が分からなくて、もはや奇怪という他ない。何が芽生えてるの?なんでこれがボーナストラックの最後に?まだ隠しトラックなら分かるけどさっきの曲と普通に繋がってるよねこれ?歌詞カードないし?そんなこちらの混乱をよそに、謎の曲はサビに突入していく。

「めっ!めっ!めが出る五秒前 おはようよろしく 愛でてね〜愛でてね〜可愛くてごめんね〜」

これほどHey!Say!JUMPを端的に表す曲が今まであっただろうか!!我々には意味など分からなくていい、何だか分からんが芽が出る5秒前なのだ。そしてHey!Say!JUMPは「愛でてね〜」と箱庭の端までちょこちょこ寄ってきてくれるのだ。それでいて「可愛くてごめんね〜」とマウンティング気味に謝らなければならないくらい可愛い生き物なのだ。そりゃあめでたいから踊っちゃう。ふりふり腰も回しちゃう。だってHey!Say!JUMPは可愛いのだ。

「…愛でろ」、はい愛でますとも!

この曲を、最年長のメンバー2人が30歳になろうとしている2019年の今、彼らが発信したことに大きな意義があると思う。何となく、この曲の成り立ちにはメンバー自身が大きく関わっているような気がしてならない。普通はこの年齢のアイドルにこんな超ド級トンチキ曲を歌わせようとしないからだ(ぷぅの歌も同様)。だとするならば、Hey!Say!JUMPは自ら「可愛い」を引き受けたと同時に、我々に対して「可愛い」の保証、意思表明を行ったとも解釈できる。以前日経エンタで、JUMP達が可愛い路線の売り方に対して「求めてくれるならいつまででも」と言っていたのを思い出す。当時は我々を慮ってそう言ってくれたのだと思っていたけれど、ここまではっきり、そして強烈な方法で発信したのを見るに、JUMPは他者の入り込む隙がない摩訶不思議な箱庭の「可愛さ」こそが、自身の最大の武器であると承知しているのではないだろうか。これはJUMPが大人になってしまったと勝手に諦めていた、私のような人間に対する攻めの一手だ。彼らはいつまでもギラギラとした可愛さを見せつけてくれる。我々は安心してHey!Say!JUMPを愛で続けていれば良い。

なお、この謎めいた、しかしHey!Say!JUMPの核心に触れた曲について、『パレードは終わらない』の一部として見るべきか、全く別の曲として考えるべきかという議論がある。どちらかに断定することは現段階では難しいが、少なくとも『パレードは終わらない』と同トラック内に収められていることに彼らの遊び心があるような気がしてならない。混乱と狂瀾のままアルバムを締め括ることにより、文字通りパレードが終わることはないのだ。

 

Hey!Say!JUMPは妖かしのように変幻自在だ。彼らはいつまでも無邪気な少年であり、時に獣のように鋭い牙で我々を狙い、そして成熟した大人の魅力を振り撒く。彼らはパレードの中でさまざまな姿を見せてくれる。

また、彼らの本質は「愛でられる存在」であり、初めから今日に至るまで何も変わってなどいない。いや、変わらないことを選んでくれた。それでいて常に新しく、進化して洗練されている。矛盾しているようだけど、そんなHey!Say!JUMPの魅力がぎゅっと凝縮されているアルバムこそが『PARADE』だ。このアルバムを引っ提げたドームツアー、一体どんな素晴らしい夢の世界を提供してくれるのだろうと期待は高まるばかり。

この百花繚乱なるお祭り騒ぎ、今この時に加わらなければ損すること請け合いだ。少なくとも、私は彼らの魅力に捕われ、練り歩く行進の列から抜け出せそうにない。まだアルバムを手に取っていない人は、騙されたと思って公式HPでMVのサンプルだけでも試聴してみて欲しい。

https://www.j-storm.co.jp/parade/

 

『PARADE』はいつまでも終わらない!!

 

 

『チョコラタ』は2018年版『Come On A My House』だ

チョコラタを聴くと、涙さえ込み上げてくる。Hey!Say!JUMP 11年目の実力とそれに裏打ちされた自信が、この都会的で洗練された一曲に詰まっているからだ。

 

2013年、『Come On A My House』がHey!Say!JUMPへの担降り推奨ソングであると俄かに話題になった。二人称である「君」はそもそも「彼だけ見つめてる」状態であり、曲の一人称である「僕」は絶賛片想い中なのだが、「僕」は「もっと君を知りたい もっと君に触れたい」という想いのままに、「君」を家に招待する。「彼」よりも、きっと「僕」の方が「君のことを誰より笑顔にできるから」という口説き文句の下、「彼」が好き?「僕」が好き?「本当は誰が好きなの?」と「君」に揺さぶりをかけてくる。最後は華麗にダンスをして高く空へと舞い上がってしまう訳だが、これはHey!Say!JUMPが美しい群舞を自グループの強みにし始めたことの表れだろうか。

とにかく、歌詞の内容がまるで「他グループから自グループへの担降りを推奨している」ようにも捉えられたことと、実際に曲を歌って踊るJUMPが信じられないくらい可愛くてつい見入ってしまう(メンバー全員が成人を迎える年だったにも関わらず)ことから、ジャニオタ界隈では色々な意味で話題になったのだった。

歌詞を深読みしすぎではないか?と思われるかもしれない。しかし当時は矢印ドームの客席が風船で埋められていた時代、山田涼介が「お願いです、僕達から離れないでください」と切実な言葉を口にした時代だ。そんな時期にリリースされたシングル『Come On A My House』に、何らかの想いが込められていると考えても不思議ではなかった。

 

そして、『チョコラタ』。Hey!Say!JUMPらしい、地に足のついた素晴らしい10周年イヤーを終え、年明け2018年の第一弾シングルとして発売された『マエヲムケ』のカップリング曲。

「チョコラタ」という囁きのあと、トランペットの効いた、どこかジャズのようなモダンなテイストでイントロは始まる。小気味良いメロディを味わっていると、まるで音の一部であるかのように歌われる「Tasty CHOCOLATTA」で一気に心を鷲掴みにされる。チョコレートのように濃厚で甘く、蕩けるように舌触りの良い声。裏返る寸前で引き戻す歌声の官能。伊野尾さんの声質を最大限に活かしたパートの采配は天才としか言いようがない。そしてまさか自らをチョコレート、と形容するとは思わなかった。この比喩も、後の歌詞でぐうの音も出ないくらい納得させられる。

「今日は誰の唇(くち)で溶けようか」という髙木くんの歌い出しに痺れた。今のHey!Say!JUMPは、なかなか振り向いてくれない片想いの相手を懸命に追いかけるような存在ではない。不特定多数の存在に消費され、それでいて虜にして離さない、まさに黒いスーツを身に纏うチョコレートなのだ。「お気に召すままボクらを選んでいい あなたにあう味ご用意しています」という歌詞からもHey!Say!JUMPメンバーのそれぞれが魅力を持った存在であり、一たび口に入れれば気になるメンバーが見つかるはず、という自信が感じられる。

「愛してくれますか?」と聞いてくるその癖、我々には拒否権などない。「お口にあいましたか? もっとTasting」 と誘われるがまま、9人の異なる味わいを口の中へと流し込まれ、暴力的なまでに我々を奪い去っていく。

また、二番の出だし、有岡くんの「味を変えて白いシャツなんてどう?」というパートもたまらなく痺れる。一番でスーツ姿をカカオに見立てたならば、今度はシャツでホワイトチョコに見立ててくるとは。何より有岡くんには、白いシャツが似合う。

そしてトドメは山田涼介の「僕を食べて」だ。あまりにダイレクトすぎる。しかし山田くんの、命を削るように自らを消費し尽くさせようとする、天命とも呼ぶべきアイドル性が、不思議な説得力を与えているのだ。

 

この『チョコラタ』、数年前ならばこれほど魅力的には歌えなかっただろう。10周年を終え、自分たちのパフォーマンスや仕事の内容、グループの方向性に確かな自信を持ち始めた彼らだからこそ、こんなにも歌詞に魂が宿る。

これを「担降り推奨ソング」と呼ぶには少々行き過ぎているようにも思われる。しかしデビュー11年目を迎え、正統派アイドルとしての軸はそのままに、ますます大人としての魅力に磨きがかかる今のHey!Say!JUMPが人々を釘付けにし虜にする、そんな2018年版『Come On A My House』と捉えるのはどうだろうか。

 

 

何が言いたいかというと、『チョコラタ』は色んな方面の琴線に触れるので何かの機会に絶対踊ってね、願わくば今年のツアーのセトリに入れてねということです運営各位!

2018年1月6日らじらー いのあり脇毛話書き起こし

前略

元旦、あんなどデカいいのあり事件が起こって、しばらくこの事件を反芻して生きていくのだと思っていた同コンビ担の皆様、お元気ですか。

かくいう私も、当分こんな濃度のエピソードはないと思っていた。これからはただ出家僧のように、元旦の出来事を思い起こしては尊さに涙し祈りを捧げる、そんな日々を送るのだと信じて疑わなかった。それがどうだろう、元旦からわずか5日後の1月6日、新年最初のらじらーでまさか、再びいのあり担界隈を激震させるエピソードが伊野尾さん自身によって披露されるとは。人体に摂取できるいのありエピソードの適量をとうに超えていたため、しばらく考えることも出来ず腑抜けた日々を過ごしていたが、今回とにかく自分の中の気持ちを整理しなければと、まずはラジオのいのひか会話書き起こしを行うことにした。

元旦のことを書き残したいがために作ったブログ、もう更新することもないと思っていたけれど、せっかく書き起こしたので参考までに置いておくことにする。伊野尾さんは全体的にすごく楽しそうに早口で話すので、何度繰り返しても上手く聞き取れない部分もあったが、ご了承いただきたい。

 

光:『年末年始、東京公演お疲れ様でした。すごく楽しかったです。途中上半身裸で花道で踊ったり太鼓をたたく場面がありました。すごくカッコよかったのですが、なんだか恥ずかしそうと思いながら見てしまいました。』ということです

伊: わたくしは恥ずかしいなと思いました

光:私も恥ずかしかったです。あのちょっと…あのまだ、なん、なんだろう、去年、2017年は、筋トレー、をしてなかったんですよ。だから腹筋が割れてなかったんですよ。それなのに上半身裸でぇ

伊:うははははは

光:やらなきゃいけないってのがね、恥ずかしくて

伊:…私こんな話をしていいのか分からないですけど、あのぉ…、脱ぐって話になったので

光:はい

伊:私の、脇毛は、暴れん坊なんですよ
光:クヒッwwwはい
伊:暴れん坊の、脇毛なんですよ
光:はい
伊:これ脱ぐにあたって、ちょっと……この脇毛、どうしたらいいんだろうなぁって思ったんすよねぇ。そしたら、あのぉ…有岡さんが、あの、『僕に任せて』って(小声でめちゃくちゃ早口)、ハサミを持ってきて
光:うふふ
伊:あの、フヒ、カリスマ美容師ばりに、ハサミやら、あのバリカンやらを駆使して、俺の脇毛を、カットしてくれましたwwwあはははは
光:マジで!?
伊:知らなかったのこれ?ヒッヒッ(引き笑い)え、知らなかったの!?
光:知らなかった
伊:大ちゃんね!
光:おぅ
伊:めっっちゃ脇毛カットするの上手いよ
光:えっ、嘘、全部カットしたの?
伊:え、全部カットしてないなんかぁ、
光:シャギーみたいな
伊:シャギーじゃないけど、えなんか、なんかそう、俺がこうやって脇上げてる時にさ、ハサミでこう、チョキチョキッ!チョキチョキッ!ってさぁ
光:くすぐったそ〜www
伊:チョキチョキって入れてってさぁ、で『今日どんな感じする〜?』みたいな感じでいつも向かうみたいに(?)いやちょっとぉ、あのぉ脇見せなきゃいけないんでぇ、なんていうかお上品な感じに仕上げて貰えたら嬉しいですねぇみたいな話をしたの。したらはい、つってみたいな(?)感じでそしたらチョキチョキッチョキッ!チョキチョキッチョキッ!って、なんかバリカンみたいなやつでウィーンウィンウィーン、シャッシャッシャッシャッ、とかいって『う〜ん』って言ってなんか最後にさwww
光:うん
伊:なんか、なんかぁwwwなんだっけなんかな…wなんか塗られたななんか塗られてぇ
光:塗るぅ?
伊:エッwwwなんだろう、化粧水かななんか、なんか
光:うん
伊:なんか、ワックス付けるじゃん美容院の
光:フハッwwwww美容院最後ね
伊:そればりにササッてそういうの、うはははははwww
光:うざってぇ〜〜w
伊:エッエッエッエッエッwwwwwッ、バカなんじゃないかと思ったけどね
光:いや二人ともバカだよ!!!
伊:でもそのおかげでぇ
光:うん
伊:おれはぁ、あ〜の〜、しっかり、
光:そうだね、腕上げる振り付け多かったもんね
伊:しっかり、恥ずかしがらずに、
光:うん
伊:大きく腕を上げて、できたんじゃないかなぁと思います
光:良かった良かった
伊:まだちょっと、DVDになるかとかは分からないですけれどももしも何かこう、映像とかに残る場合はぜひわたくしの、洗練された脇毛もチェックしていただけたら
光:有岡さんの、腕のね
伊:やぁ〜…ほんと上手いのだからなんか、なんかもぅこう急に脱がなきゃいけないとか、
光:はいはい
伊:ちょっと脇、ちょっとゴワゴワするなぁみたいな、感じになったら、言えば、カットしてくれっから
光:くひひひひひwwww
伊:wwwおれもちょっとね、またね、時間経っちゃってちょっとまた伸びてきちゃったのよ
光:あぁ、じゃあまた有岡先生に
伊:あ〜また有岡先生にwカットしてもらわないとw
光:うはっはっはっはっはっ
伊:ッッッッッwww
光:ばかだなぁw

 

とりあえず書き起こしてはみたものの、やっぱりよく分からない。どんなに仲良くても、人の脇毛なんて、簡単に剃ろうという気になるだろうか?また、ハサミとバリカンという仮にも刃物を持った相手に、全面の信頼を以って脇を預けるだろうか?また、このエピソードを伊野尾さんが簡単に話したというのも不思議でたまらない。伊野尾さんは、大ちゃんとのエピソードをよくよく厳選して披露する印象があったから(まあ、それでもこれまでも理解を超えた逸話がいくつも披露されているけれど)。

元旦の事件同様、これまたさっぱりよく分からない。よく分からないが、最後の慈愛に満ちた光くんの『ばかだなぁ』で何故か泣いてしまった。ありがとう光くん。

ちなみに、その翌週、1月13日のらじらーでもこの脇毛話の後日譚が披露された。大ちゃんがこのエピソードを披露したことについて伊野尾さんに声をかけてきた、というような内容なのだが、それについても情報の出所など気になるところだ。リアルタイムで聴いていたのか、何かネット等の情報を確認したのか。

ともあれ、2018年が始まってまだひと月も経っていない今日この頃、しばらく彼らの動向に頭を悩ませ続けることになるだろう。

その時、いのありに何が起こっていたのか(1月1日JUMPコンオーラス)

1月1日の22時15分、私は今、震える手で文字を打ち込んでいる。あらかじめ、これはコンサートレポなどではなく、主観と偏見に満ちた感想文であることを御容赦願いたい。

本日はHey!Say!JUMPの10周年を締めくくる東京ドーム公演の最終日。オーラスだ。元旦に大好きなアイドルを観に行けるという高揚感と、…いのありが果たして今日絡むのだろうかという不安感。そう、当方は何を隠そういのあり厨だ。
前日の大晦日、記念すべき初紅白。とんでもない事件があった。『いのあり高い高い事件』だ。トップバッターのカモナを終え、私達は完全に油断していた。坂本冬美さんとのコラボまではのんびりと紅白鑑賞を決め込むつもりでいた。しかし、先輩グループの関ジャニ∞さんがなぐりガキBEATを歌っている時、それは起こった。エイトの皆さんの後ろで楽しそうに盛り上がる他の出演陣に紛れて、何か伸び上がっては縮むものがあった。大ちゃんだ。大ちゃんがジャンプしている?最初はそう思ったが、違ったのだ。脇を両手で持ち、後ろからリフトしている人物があった。伊野尾さんだ。
伊野尾さんが、それはもう楽しそうに大ちゃんを高い高いしていたのだ。
……訳が分からない。国民の半分が観ると言っても過言ではないほどの紅白で、高い高い?しかも先輩グループの演奏中?さっぱりだ。普通はやろうと思わない。案の定、大ちゃんは途中からちょっと不機嫌そうだった。でも伊野尾さんは最後まで楽しそうにヘラヘラ笑っていた。さっぱりだ。お陰で坂本冬美さんとのコラボはぼーっとした頭で眺めて終わった。ファンシーなおもちゃみたいに鳴子を鳴らす大ちゃんと、大人しくうちわを両手持ちして微笑む伊野尾さんは可愛かった。

そういう訳で、とんでもねぇいのあり爆撃を落とされた厨は些かの不安を覚えていた。いのありは、安定しているようで安定していない。彼らが絡むのは伊野尾さんが構ってほしがりで、且つ大ちゃんの機嫌が良い日。すごい時はものすごい風速で直撃するのだが、ダメな時は全くダメ。意図的なのか偶然なのかは分からないが、絡む日と絡まない日は交互に訪れることが多いようにも思われた。さらに言えば、本日はDVDの収録撮影が入る日だと推測できた。撮影の時はこれまでやっていたおふざけをやめ、決まって大人しくなるJUMPちゃんだ。果たしてコンサートでもいのありはあるのだろうかと、そればかりが不安だった。
しかし、その不安は早々に良い形で裏切られた。
ビバナイでありちねに自分の手首を嗅がせた後で脇まで嗅がせようとする伊野尾さん、その後山田くんの紹介部分で情熱的なラテン系ダンスを繰り広げるいのあり。
JUMPing CARで楽しそうに横跳びをしながら大ちゃんのお尻を叩いてちょっかいを出す伊野尾さんと、お返しと言わんばかりに伊野尾さんの頭をネジ巻きするようにいじる大ちゃん。「♪いま君に」のところで肩を組んで密着し、楽しそうに笑ういのあり。真剣サンの「♪唯一無二」でも定番の肩組み密着をしてみせた。
キミアトだって、腕を上げて移動するすれ違いざまに視線を合わせながら、こっそりハイタッチをするいのありがあった。
そしてWhite Loveでは立ち位置に着く時に肘で伊野尾さんの手を押して笑う大ちゃんと、シンメダンスの後、思い切り腕で弾きあってニヤッとするいのあり。
定番の絡みが多いが、今日のいのありは安定していて豊作だ。こいつぁ新年早々縁起がいいや。にんまりとそんな風に思いながら、MCが始まり、私は天井席の椅子に腰かけた。
そう、この時、よもやあんな事態になると誰が想像しただろうか。

「大ちゃんも何か言うことあるんじゃないの?」
初めて紅白に出させてもらった、カモナの振り付けを天童よしみさんなどの大御所が楽しそうにやってくれて嬉しかった。確かそんな話をみんなでしていた時だと思う。薮くんが大ちゃんに話を振った。
「…えっあのー、関ジャニ∞さんの時に」
きた!まさかここでその話をするとは!薮様流石です、ありがとうございます!!内心ガッツポーズだった。そして大ちゃんの口から語られたことを要約するとこうだ。
『自分はカモナの出番も終わって、すっかり楽しくなってきてジャンプをしていた。すると何を思ったか、伊野尾が後ろから高い高いをしてきた』
こんな話をしていると、伊野尾さんがすぐさま口を挟んできた。以下、目まぐるしい展開に追いつかずに取ったメモのためニュアンスである上、話していたメンバーが実際とは異なることもあるかもしれないが、お許しいただきたい。
伊「何を思ったかってぇ、思ったのは一つだよね。大ちゃんちっちゃいから、映してあげなきゃって(とろとろ喋る)」
薮「けど大ちゃん、嫌な予感したんだよね」
またナイスアシストをする薮様。
有「そう、最初はたくさん映れるかな?って思ったけど、だんだん前に行ってることに気づいたんですよ。やべえよ、ぶつかっちゃう。降ろしていのちゃんって言ってたんだけど」
伊「嘘、そんなこと言ってねえだろぉ」
有「で結局、あの、すばるくんにぶつかっちゃたんですよ…もう血の気が引いて、どうすんだよ謝んなきゃって」
中「本番中ですよ!」
やんやんやするメンバー達。
有「でも謝んなきゃ謝んなきゃって思ってるうちにみんな移動して、曲が終わっちゃって…」
誰か「終わっちゃったんだ!」
有「だから坂本冬美さんの時も笑顔で鳴子振ってたけど、俺顔引きつってたかも」
伊「で俺もね、坂本冬美さんの時、こう、両手でうちわを持ってた。めっちゃお行儀のいいファンの子みたいにしてたの。楽しくなっちゃってぇ、また楽しくなりすぎたら俺、絶対なんかしちゃうと思ったから、うちわを持って」
ドッと笑いが起こる会場。これで話は終わるかと思ったのだ。ところが、だ。
有「終わった後、すぐすばるくんのところに謝りに行きましたよ」
中「俺も見てた、その時」
有「すみませんでしたって(裕翔くんに向かって頭下げる)」
中「え、俺?俺なの?」
すばるくんの役をする羽目になる裕翔くん。
有「言ったら最初はこう、ええよ(無表情)で。ほんとすみません、って言ったらええよええよ、嘘やって!って笑ってくれて」
メンバー「良かった良かった」
有「器の大きい方でしたよ。いやほんと、伊野尾許せなかった!!あの時は伊野尾を恨みましたね」
伊「…まだわだかまりあんの?」
有「……あるよ、ちょっと」
ここで会場の雰囲気が一気に変わった。メンバーもおおっ?と興味深そうに様子を見ている。伊野尾さんは小さく穏やかに話していて、いつものバラエティ用のテンションではなかった。大ちゃんもちょっとふて腐れたように答える。そして何を思ったか、伊野尾さんは大ちゃんに問いかけ始めたのだ。
伊「えでもさぁ、2017年の最後では、俺を恨んだわけじゃん。2018年はどうなの?」
有「……え?あ、恨んだ人、ですか?」
淡々と問う伊野尾さん。この時の大ちゃんは、本気で何を言ってるのか分かってなさそうで困っていた。
伊「大ちゃん違う違う、2018年の俺のことは、どう思ってるの?って」
訪れた沈黙。期待に揺れる会場。
有「……いや何とも思ってねえわ!!!」
デジャヴ。これはデジャヴだ。少クラプレミアムで、『俺のこと好きなんだと思う』と言い放った大ちゃんに対して、一瞬の沈黙の後返した伊野尾さんの言葉だ。大ちゃんが意図して同じ発言をしたのかは分からないが、こんなところまでいのありはシンメなのだと思った。
薮「いやここは『好きだよ』\キャー!!!/だろ!」
おたくの気持ちを汲んでくれる薮くん。でもここで簡単に好きだよと言えないところが、いのありのいのありたる所以なのだと遠のきかけた意識で思った。
有「だってやってらんねえよ!…まだわだかまりある。だってこいつ全然一緒に来ねえんだもん!!」
伊「おうおう何だよ、だから俺も謝りに行こうって言ったじゃん!!」
有「言ってねえし!」
伊「え、俺が悪いの?この件は五分五分でしょ?」
有「(ムッとした顔)」
そっと後ろに下がっていく他のメンバー。言い合いをしながら取り残されるいのあり。二人とも声が素だった。この辺から完全に会場の磁場がおかしくなっていた。我々は何を見せられているのか?ここは楽屋なのか?演技にしてはあまりにも、何というか。誤解を恐れずに言うならば、痴話喧嘩のように見えてならなかった。
メンバー「やめろよ二人とも」
伊「…いや、決着つけるまで終われねえよこれは」
有「謝れよ!」
伊「何だよ!」
メンバー「おお?おお〜〜〜???」
ここから、我々も流れを感じた。これはあれだ。ダチョウ倶楽部さんのキス芸の流れだ。流れを作ったのがいのあり自身なのか、メンバーなのか、我々にはもはや分からなかった。おふざけにしては、二人の声色が真面目だったが、しかしキス芸に至るのは必然の流れであったようにも思われた。
ちなみにキス芸の流れになったことを認識した私の意識は、ここからほとんど飛んでいる。双眼鏡を覗く手の震えを止めるので必死だった。

何やら謝れよ、だの何だよ、だの言い争いをしながら、じりじりと、本当にじりじりと間合いを詰めようとする二人。大ちゃんが数歩近づくと、何故か伊野尾さんは後ずさりした。顔に『どうしたらいいの?』と書いてある二人。いつものバラエティ精神旺盛な二人なら、オラオラ言わせながらあっという間に距離を近づけてしまうのではないかとも思うのに。伊野尾さんがほんの少し近づくと、今度は大ちゃんから離れる。これが2分ほど続いただろうか。阿鼻叫喚しながらも固唾を飲んで見守るおたく達と野次を入れるメンバー達。会場は混乱を極めていたが、二人が一番混乱していたのかもしれなかった。
有「俺のことどう思ってんだよ!」
伊「どう思って……え……?どう……?」
この独特の雰囲気は、レポに乗せることなど到底出来ない。困惑と緊張。5万5000人と7人と2人は、それぞれの感情を抱えながら、ただ新たな流れが生まれることを願い続けていた。
そして、とうとう近づいてくる二人。おおっ!?おお〜〜!?と野次を入れるメンバー達。睨め付けながら向かい合い、近づき…………二人はただすれ違った。
誰か「せんのかーい!!」
薮「今二人は探っております。探っております」
この時点でおたくは半分くらい心臓をやられてしんだ。ええええええ、と会場にどよめきが響く。二人はいよいよ焦りを顔に滲ませていた。この会場の期待にどう応えるか。どう着地させるか。そしてお互い、何を考えているのか。ぐるぐると回りながら相手の出方を伺う彼らは尋常ではない程の緊張に包まれており、まるで巌流島の決闘で向かい合う宮本武蔵佐々木小次郎だった。いのちゃんは(大ちゃんは)『アレ』を本当にやるつもりなのか。そこんとこどうなんだ。私には、二人の間にそんな推し量る感情があったように思えた。
そして遂に、真打が登場する。学級委員ひかにゃんだ。
光「二人とも!やめろって!」
嬉々として光くんが二人の間に立つ。
薮「光、やめろ」
余計に混乱を深めるのではないかと心配したのか、薮くんは冷静に光くんを止めた。しかし時すでに遅し。光くんを中心にして、再び少しずつ近づいてくる伊野尾さんと大ちゃん。と、画面に抜かれた大ちゃんは何故か顔を赤くして瞳を潤ませていた。
伊「え?何で大ちゃん泣きそうなの?」
有「元々こんな目だわ!うる目だわ!」
伊「え?だいちゃ、え?」
困惑する伊野尾さんの気持ちはよく分かる。確かに大ちゃんはうる目だが、こんな、今にも泣きそうな顔はしていない。しかしそんな困惑をよそに、また大ちゃんは伊野尾さんと光くんから少し離れて上手に向かい、芸は続行される。
有「いのちゃん、謝れよ!」
伊「…あやま、、うん、俺が謝ればいいんだよね。分かった」
猛烈な勢いで駆け出す伊野尾さん。そして、大ちゃんの身体を思いきり抱きしめた。
伊「…ごめん!!!」
大ちゃんは棒立ちのまま身体を預けて抱きしめられ、戸惑う表情を見せた後、黙ってぎゅっと目を閉じた。とても緊張しているように見えた。伊野尾さんの表情は、大ちゃんの顔に隠れていてよく分からなかった。
光「何でだよ!!俺出てきた意味!!」
案の定光くんは置いていかれた。
中「まあ一応キャーッてなったからいいんじゃないですか」
早口棒読みで前に出てくる裕翔くんは恐ろしいくらいに塩だった。

以上が、私の視界から見た『東京ドームいのありキス芸未遂事件』の全てである。この後、まるで全てを忘れたいかのように通常運転で楽しそうに絡むいのありがあったので、参考までにそちらも書き留めておく。脈絡のない文章で申し訳ない。

年末にJUMPで決起集会をしたという話。裕翔くん恒例、『その時の写真が、あるんですどーん!』で、めざましのいのピクでも使われた9人の写真が出てきた。
有「(肩を組むいのありを見て)この時はまだ伊野尾と仲良かった頃ですね」
ちなみにこの時、私は先のMCで見たものが信じられず、全身の血の気が引いてガタガタ震えていた。なんでもうそんな通常運転なの?アイドルってすごいと思った。
2次会では、みんなでカラオケに行ったという。キャーッと盛り上がる会場。
薮?「この時ね、コスプレもして」
山「え、…それ言っちゃいます?」
苦笑いで再び大ちゃんに注がれるメンバーの目線。
有「いや、あのね、チームに分かれようってなりまして」
そう言いながら、下手から再び上手に移動し、伊野尾さんの隣に行く大ちゃん。他のメンバーも移動した。有伊髙の順番だ。
山「ほら、カラオケ屋で、コスプレ衣装が揃ってるところってあるじゃないですか」
有「そう。で、入った瞬間に『俺これ着よー!』ってなって。……セーラー服に」
つん裂くようなおたく達の叫び声が会場に響き渡った。有岡大貴がセーラー服。何も言えない。
伊「で、俺と髙木が大ちゃんを挟んで、『パーティー!!』って」
髙「あのね、『Party』って曲をね、歌ったの」
セーラー服姿の有岡大貴を、いのたかが挟んで歌う『Party』。少しだけ意識が浮上していた私は、再びここからしばらく記憶を飛ばした。ここからずっといのありはお隣でMCをしていて、伊野尾さんがめちゃくちゃ楽しそうに話していたことだけは覚えている。

アンコールの冒険ライダーでは、メンステにたどり着いた伊野尾さんが中央まで進み、同じくメンステ下手側に立っていた大ちゃんに笑いながらジェスチャーした。両手で何かを持つ仕草をし、クイックイッと上下に動かす。まさか。
大ちゃんがトコトコ近づいてきた。一旦前に立とうとした大ちゃんに、後ろへ回るように伝える伊野尾さん。そして大ちゃんが、伊野尾さんを高い高いした!!一生懸命持ち上げているが、小さいのであまり上までいかない。それでも伊野尾さんはすごく楽しそうだ!良かったね!!(白目)
何回か持ち上げ、再び下手に去ろうとする大ちゃんを『待ってよ!』と呼び止める伊野尾さん。なんだ、まだあるのか助けて。大ちゃんの腰を引き寄せて、自分の前に持ってきた。そして伝説の高い高い!!紅白リバイバル!!!!いつもより高く持ち上げております!!!!ブーンみたいに両手を広げて、瞳をキラキラ輝かせて楽しそうに笑う大ちゃん。持ち上げる伊野尾さんもそれはそれは幸せそうで、もうよく分からなかった。脳は度重なるいのありですっかり焼き切れた。

ダブルアンコのロミジュリまでも、いのありはあった。『STOP!』で大ちゃんが伊野尾さんに魔法をかけると、伊野尾さんがカチンと固まった。…これは、2013年以前のいのありでよく見られた絡みだ。大ちゃんはそのまま歩き出そうとしたが、伊野尾さんがしばらく経っても動かなかったので、仕方ないと言わんばかりの表情で魔法を解いてあげた。わあ、というジェスチャーでまた動き出す伊野尾さんと、柔らかく笑う大ちゃん。私は崩れ落ちて泣いた。
このほか、移動の時も、二人で隣り合いながら歩くいのありの光景が随所に見られた。

 

 

以上、皆様はこの一連のいのありをどのように感じられただろうか。

書いていても頭がおかしくなりそうなパワーワードが並んでしまったが、これが全て実際にあったのだから訳が分からない。そして、これらを考察するまでの力は、まだ私にはない。有識者の力を大いに借りたいところである。
思えば、ドームツアー初日からいのありはおかしかった。真剣サンで大ちゃんを強く抱きしめた伊野尾さん。これまで大ちゃんを抱きしめるなんてこと、どんなにふざけてもしなかったのに。髙木くんや知念くんにはいくらでもするのに、だ。
2017年末から2018年にかけて、彼らに何があったのか。まだ何も分からない。分からないが、1月1日の東京ドームが、いのありを考えるにあたって決して外せない金字塔になるのは確かである。